バイオ加工とは、特殊な酵素を使って、微生物に布生地の表面を食べさせる加工のことを言います。バイオウォッシュ加工とも呼ばれることも。微生物のことをバイオといいますが、この微生物を含むバイオ溶液にセルロース繊維(コットンやレーヨンの主成分)を漬け込むことで、生地をやわらかくする、あるいは古びたイメージの加工(エイジング加工)を施すことなどが可能です。
ジーンズなどの凸部分を白くする洗い加工が有名です。また古びたイメージにするのは古着感を出す際に、この加工方法を利用しします。
セルラーゼ酵素を使用してセルロースを分解し、数パーセントの減量します。この分解により糸を痩せさせることができます。
古びた風合いを出すためではなく、光沢を出したい場合には、このセルラーゼ酵素を薄く利用し分解レベルを下げることで毛羽を酵素に食べさせるという方法を使用します。逆に分解レベルを大きく上げすぎるとどうなるかというと、繊維を分解させすぎてしまうことで劣化してしまい、生地の強度が下がってしまうため上げすぎるという利用法には注意しなければなりません。
熱湯でシルクを煮ることで、ポリエステルの表面を溶かし生地を柔らかくするための練り手法で原料加工と呼ばれるものもありますが、こちらも同様の手法です。
他にも同様のバイオ加工として、染色をするためにアルカリで染色を阻害するべくペクチン質を除去することがありますが、アルカリが環境にあまり良くないこともあり、その場合はペクチナーゼ酵素を利用して精錬します。
このような加工を微生物作用の工学的利用と言いますが、微生物作用の工学的利用は繊維以外の文やでは金属・廃坑残渣(ざんさ)・貧鉱処理でも利用されています。
ちなみにバイオ加工はウール等動物繊維や、ポリエステル等の合成繊維には基本的に効果がありませんが、ウールに限ってはバイオ加工によって機能面を改良に成功した企業もあります。
セルロース繊維(綿や麻)の風合いを柔らかくする目的でバイオ加工は最も多く利用され、そのメリットは着心地を良くしてくれることにあります。
固くて欠点の多い繊維だったテンセル(リヨセル)はこの処理を行うことで、これまで柔らかくする加工として行われてきた「もみ処理」「たたき処理」など以外の方法でも、柔らかい布生地にすることが可能になりました。
もちろん生地が細くなり柔らかくなることで、自然なストレッチ感も出ます。
デニムの加工によく利用されるバイオ加工ですが、ブリーチ加工という方法とよく混同されます。
バイオ加工とブリーチ加工の違いは見た目にもっとも現れます。
バイオ加工を施したデニムは紺色を比較的保った状態で仕上がりますが、ブリーチ加工はより水色に近い色へと変化します。またブリーチ加工は色合いが薄くなり大きく変化があるように見えますが、生地が柔らかくなったりするということはありません。
バイオ加工は生地が柔らかくなりますがから、よく動く環境での衣服と相性が良いです。そのため建築現場などで着用される作業着でも、この加工方法が利用されることがあります。またヴィンテージ風となる作用を利用し、おしゃれなカフェなどで着用するユニフォームとしても利用されます。
その事例としていくつかアイテムをご紹介します。