料理人が調理場で被るコック帽とは何か、料理をする人でもきちんと把握できてる人は少ないのではないでしょうか。
そもそもなぜ被る必要があるのか、なんであの形状になったのかなど、色々と疑問が多いです。コック帽はお店や料理人によって形状が異なるので、その点も踏まえて詳しく解説していきます。
コック帽は料理人が厨房で被る帽子のことです。
コックさんと言えば長くて白い帽子を浮かべる人が多いように、料理人の象徴とも言える存在ですね。
なぜコック帽があのように長いのかは、以下で解説しています。
コック帽はヨーロッパの料理(フランス料理・イタリアンなど)や、中華料理の料理人が被ることが多いです。
元々フランスの料理人が最初にコック帽を被ったとされているため、フランスはその文化が根強く残っています。さらに、発祥の地であるフランスだけでなく中国でもこの文化は広まっています。
中華料理は炒めものなどで火を扱う料理が多く、厨房がかなり高温なため、通常の帽子よりも通気性に優れた長いコック帽が適しているんですね。日本でもホテルやレストランで被ることが多いですが、和食料理人はコック帽とは形が異なる和帽子を被ります。
コック帽の歴史は、先ほども触れた通りフランスから始まりました。諸説ありますが有力なのは以下の2つの説です。
アントナンカレームはフランス料理の発展に大きく貢献した一流料理人です。
彼がお客さんの被っている長いシルクハットを見て気に入り、厨房でそれを真似て被ったことがコック帽の起源と言われています。カレームは国王や政治家に料理を振る舞うほどの地位であったため、彼が被るコック帽は他の料理人もすぐに真似をしたのではないでしょうか。
フランスの料理人であるオーギュスト・エスコフィエが、自身の背の低さを気にして長いコック帽を被りだしたという説もあります。
エスコフィエはアントナンカレームのレシピを簡略化し、実用的に調理ができるようにした実績があり、彼もまたフランス料理の発展に大きく貢献した人物です。
料理人としての威厳を保つため、他の料理人より30cmも長いコック帽を被っていたため、フランスでは料理人が長いコック帽を被る文化が広まったというエピソードがあります。
現在の一般的なコック帽でも、30cmはかなり長い部類なので、当時の厨房では異様な存在感を放っていたことが予想できますね。
コック帽が長い意味はあるのか、疑問に思う人も多いはずです。
日本だとコック帽の長さが調理場での職位を表している場合もあります。料理長は一番長いコック帽を被っているため、パッと見ただけで調理場の料理長が分かるというメリットもあります。
それだけでなく、普通に髪の毛が落ちるのを防いだり、暑い厨房でも頭が蒸れにくくなるように通気性を確保する狙いがあります。長くて高さのあるコック帽は、それだけ帽子の中に空間ができるので、頭の蒸れ対策や汗が落ちるのを防ぐのに役立っているんですね。
詳しくは以下でコック帽の長さについて解説しています。
コック帽以外にも、板前さんなどの和食料理人が被る和帽子や工場・仕込み作業などで被る衛生帽子があります。
また、フランス料理やイタリアンでも、お客さんの前に出るときだけコック帽を被るなど、お店のテイストや利用シーンに応じて帽子を使い分けています。
コック帽の素材にもいくつか種類があり、高級感のある素材や着心地のいい素材など、昔と比べて選択肢が増えています。
従来はポリエステルと綿の混合素材が一般的でしたが、丈夫な綿100%のものや光沢がある高級素材の新長綿ツイル100%など、用途に合わせて素材選びも重要になってきます。
以下、おすすめのコック帽を素材とともに簡単に説明します。
火や水、油などを扱う調理場には耐久性重視のコック帽がおすすめです。
素材は綿100%で、火が燃え移らないので安全です。また、吸水性と通気性に優れるので、火を扱う調理場において最適な素材となっています。
薄い生地で通気性を重視したコック帽は暑い厨房でも快適です。火を扱わない調理場でも、冷房がない(あるいは弱い)などで暑い環境だとコック帽の通気性が重要になります。
素材は高級コットンシーチング(綿100%) の薄い生地なので乾きも速いです。長さも15〜19.5cmまであります。
仕込み作業や工場での利用など、衛生管理を徹底する必要がある場合は、たれ付のコック帽がおすすめです。
これだと耳やもみあげを覆うことができるので、髪の毛や汗が食べ物に入るのを防ぐのに効果的。素材もたれの部分はメッシュ加工なので、不快感もなくスッキリとした被り心地です。