接触冷感とは、触れた部分がひんやりと冷たく感じる効果のことです。この効果を活かして、快適に涼しさを感じることができる生地を作ることが可能です。
接触冷感素材は特に暑さ対策としてとても効果的な生地で、熱中症向けウェアにも使えることから、環境にも優しいエコな活用方法も期待されています。
参考:日本化学繊維協会HP
接触冷感の仕組みは、熱伝導率・熱拡散率が高いことによって、肌の熱が生地に瞬時に移動することで冷たさを感じる、というもの。
熱は高温から低温へと熱を移す、という性質を活かした生地です。
これにより、触れた部分の持つ熱が、瞬時に生地に移動することで、熱を奪われてひんやりと感じる、という仕組みだったんですね。
また、熱が移動する量を”Q‒max”(W/cm2)という単位で表します(最大熱吸収速度)。この数値が高ければ高いほど冷たさを感じやすくなり、0.2W/cm程度あればひんやり感を味わえる目安です。
接触冷感はレーヨンやキュプラといった化学繊維が適しています。レーヨンとキュプラは光沢やドレープ性といった見た目の風合いがとても似ているのですが、原料が違うので全く別物の素材です。
どちらも肌に触れる部分によく使われる生地なので、それぞれの違いを比較してみます。
比較してみると以下の通りです。
レーヨン | キュプラ | |
原料 | 木材パルプ | 綿の産毛部分 |
特徴 | ・ドレープ性に優れる ・水に弱く洗濯が大変 | ・肌触りがいい ・吸湿性が高い ・静電気が起きにくい |
用途 | ドレスやワンピースなど | スーツの裏地によく使われる |
レーヨンとキュプラは肌触りの良さやドレープ性が高いなどのメリットと、水に弱くてシワになりやすいというデメリットを持っています。
接触冷感は暑さ対策として効果的です。暑い夏場でも裏地がひんやりとすると気持ちがいいですよね。涼感に優れているので、肌着やジャケットの裏地にもよく使われます。
中でも特に多いのが、寝具と夏用衣類の2種類です。
肌着などの夏用衣類では、接触冷感が効果的です。肌触りがよくて着心地がいいので、インナーや作業着にも使われます。
熱伝導率が高いインナーはひんやり・サラサラした着心地でありながら、素早く汗を吸収して乾かす吸汗・速乾機能との組み合わせも実現できます。汗をかいてもすぐに乾くため快適な着心地がキープできるのです。
節電の観点からも、寝具に接触冷感効果を組み合わせることで、エアコンに頼らずに快適な睡眠ができるようになります。特に寝返りによって体温の熱を逃がすため、寝苦しさも緩和されるでしょう。
東洋紡の「アイスマックス」という夏用寝具がまさに接触冷感を活かした商品です。
この敷きパッドをベッドに敷くことで、寝ている時の体温上昇を抑えてくれます。寝汗をかくほどの寝苦しい夜には悩まなくて済みますね。
ただし、寝具の場合は接触冷感素材に注意すべきデメリットがあります。
寝具の場合は衣類と違って動きが少ないので、同じ部分が触れ続けていると冷感効果が発揮されずに生暖かくなりがちです。吸湿性や吸水性が低いポリエチレンやナイロンなどの素材の場合、接触冷感でも汗の蒸気によって蒸れて寝苦しくなってしまうので注意しましょう。
おすすめの素材はレーヨンや加工綿、肌触りがゴワゴワしますが麻も優秀です。メッシュ加工された生地も通気性が良くなって蒸れにくくなります。
ここからは実際にどんな商品があるのか、接触冷感効果ありの商品を紹介していきます。
こちらは自重堂Z-DRAGONの男性用ロングスリーブです。接触冷感効果があるので、炎天下での作業時などで、少しでも暑さを緩和したい場合に着たい商品です。
こちらは「TS DESIGN ハーフジップ ドライポロシャツ」です。次世代ワークウェアと言われるほどの快適さと機能性を持ちつつ、デザインもおしゃれで普段着としても使えそうですね。
接触冷感だけでなく、吸汗速乾機能などの夏に欠かせない要素が詰まっている商品です。
TS DESIGN ハーフジップ ドライポロシャツ(男女兼用)