エナメルは身近な製品に多く使われているため、よく耳にする素材ではないでしょうか。
エナメルの特徴や注意点から、扱い方を解説させていただきます。
エナメルにはいくつか意味がありますが、服飾で使うエナメルは表面を加工する塗料のことをいいます。
樹脂を溶剤に溶かした塗料であるワニス(ニス)と顔料を混ぜたものがエナメルですが、このエナメルで加工されたものをエナメルということもあります。し、また、レザーにエナメル加工を施したものをエナメル革といいます。
布地やレザー・ビニールなどの表面にエナメル加工を施すことが多く、靴やバッグ・ベルト・財布等の小物などに使われています。
エナメルはツルッとした光沢感が特徴で、高級感のある見た目なので、フォーマルな場面でも使用できます。但し葬式やお通夜ではエナメル素材はNGです。
この光沢感があることで、頻繁に手入れをしなくても、キレイな見た目を保つことができるため、人気があります。
また、エナメル素材は水に強く、雨のシミができにくいことも特徴の一つです。
エナメルは靴やバッグ・ベルト・財布等の小物などによく使われていることは前述しましたが、より詳しく紹介させていただきます。
女性はエナメルのパンプスやローファー・オックスフォードシューズなど、普段使いとして使用することも多いですが、男性のエナメル靴の着用は女性より圧倒的に少ないです。
男性は結婚式やパーティーなどフォーマルな場面で履くドレスシューズとして、エナメルが使われているものもありますが、革靴のほうが一般的で馴染みがあるため、光沢感のあるエナメル靴をコーディネートに取り入れるにはハードルが高いと感じる方が多いです。
エナメルバッグの使用用途で最も多いのは、スポーツバッグとしてです。学生が部活動のときに使用している四角いバッグといえば、イメージできる方も多いと思います。
スポーツバッグとしてよく使われている理由は、汗や雨などで濡れても気にせずに使えるためです。
スポーツバッグ以外にも、普段使い・フォーマル使いができるハンドバックが多く発売されていますが、エナメルの光沢感がある綺麗めな見た目から、メンズ用のエナメルバッグはほとんどありません。
小物類でエナメルがよく使われるものというと、ベルト・財布(パスケース)・ポーチなどがあります。
小物類は手で触れる回数が多いので、指紋や皮脂汚れがつきますが、エナメルであれば軽く拭けば綺麗な状態になるため、高級感のある見た目を保つことができます。
エナメルの特徴はご理解いただけたと思いますが、気をつけなければいけないポイントもあります。
まず一つ目は色移りがしやすい点です。
インクプリントされたレシートなどの紙が濡れた状態でエナメルにくっつくと、色移りする可能性が高く、その他にも保管するときに隣に置いていたものの色が移ることがあります。
二つ目は高温多湿に弱いことです。
長時間温度・湿度の高い場所に置いておくと、エナメルの表面が溶けてベタベタになります。
一度この状態になってしまうと、元の状態に戻すことはできません。
そのため、保管時には定期的に空気の入れ替えをしたり、隣に置くものとの間に隙間を作る等の工夫が必要です。
エナメルの表面はツルッとしているので、普段の手入れは乾いた柔らかい布で拭く程度で十分です。
普段生活をしている中でつく皮脂や指紋・ほこり、靴であれば泥汚れなどは、この乾拭きで綺麗になります。
定期的な手入れとして、汚れを落とし光沢を出してくれたり、エナメルのひび割れを防いでくれるようなクリーナーも販売されています。
また、防水性に優れていることは前述しましたが、革製品の場合には雨に濡れたままにしておくと、濡れた跡が残る可能性があります。しっかり水は拭き取るよう注意しましょう。
ちなみに、エナメル製品は防水スプレーNGです。
防水スプレーの成分でエナメルの特徴である光沢感が失われてしまい、ツヤがない状態になります。