親水皮膜とは、読んで字のごとく「水と親和性のある皮膜」のことです。親水性の反対の性質を持つ性能は撥水性や疎水性が挙げられます。通常は水分が付着した際、水滴になるのですが親水性を持っている場合、表面に付着するように水分が馴染みます。
親水皮膜が施された状態は、水分だけでなく汚れや油分なども付着しにくくなる性質を持ちます。つまり洗濯であったり雨であったり水分が流れるような状況が生まれたときは、水分と一緒に汚れも洗い流してくれるため綺麗を保ちやすくすることができます。
一般的に認知があるのは水分を弾くようになる撥水性です。水分を弾くので、同時に汚れも付着しにくくなる印象を持たれるかもしれませんが、撥水性の機能を持った場合に弾くのはあくまでも水分だけで油分などは付着します。結果として油分がべったりと付いた状態は、撥水性の機能も低下させてしまうことに繋がります。
先に挙げたメリットを活かすため、様々なシーンで親水皮膜は利用されています。最も身近で利用されているのは住居の外壁と、車体です。
住居の場合は外壁を塗装する際に、親水性を持たせるようなコーティング(親水性塗装)を行います。そのようにすることで表面に油分を含めた様々な汚れから守ることができますから、結果として塗り直した外壁の塗装も長持ちさせることができます。
車体の場合は、親水性と撥水性をうまく使い分けています。車体のガラスの場合、外面はワイパーで水をかき分けやすくしたほうが視界が確保しやすいので撥水コーティングを行います。逆に内面に利用させるのが親水性です。
自動車に乗っているときに外の気温と内の気温がエアコンなどで大きく乖離した場合、ガラスが曇ってしまったというような経験はありませんでしょうか。その場合、水分が水滴になってしまうと視界を確保しにくく事故につながってしまうかもしれません。そこで親水性を持たせ、あえて水分を表面に付着させるようなコーティングをすることで視界を確保しやすくしています。
自動車に装着されているセンサーカメラの表面なども、あまり掃除をすることはありませんからカメラの表面に親水性を持たせ汚れを付着しづらくし、センサーの性能を保ち続けることが出来るようになります。
その他にも身近に親水皮膜を利用しているものとして、衣服が挙げられます。
汚れが付きにくく、仮に付着しても洗濯で洗い流しやすいという点を考えればメリットは想像に易いのではないでしょうか。衣服ではユニフォームにも活用されていて、作業現場など油を含め汚れが付着しやすいような状況に長時間晒されるような作業着では、親水性を持たせることで作業着をきれいに保ちやすくすること(防汚性)が可能です。
親水皮膜を作るには親水性を持った素材を、ローラーやブラシ(刷毛)などで塗っていきますが、どの程度の親水性を持たせたいのか、どの素材か場所に親水性を持たせたいのかによって大きく変わります。
ですがこれは工業レベルの話で身近な素材に親水皮膜を作りたい場合、最もお手軽なのはスプレーによる塗布です。
ポピュラーなものとしては、車のサイドミラーに塗布するスプレーではないでしょうか。雨の日にサイドミラーに水滴が付着してしまうのを防ぐために親水性を持たせるスプレーが販売されています。またこうしたスプレーの中には撥水性と親水性の機能を同時に持たせるようなハイブリット型の商品も登場しています。
過酷な作業現場では油汚れにさらされる機会も多くあります。そこで親水皮膜加工が施された防汚が可能な製品も開発されています。
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