家事を行う際に着物が汚れてしまわないように保護する役割で、昭和後期まで幅広く日本の女性が着用していたエプロンの一種です。元々着物の上に着用するものとして開発された背景もあり、近年ではほとんど家庭で着用されることはありません。国民的アニメであるサザエさんに登場するキャラクターの磯野フネが着用しており、そのイメージで幅広く認知されています。連続テレビ小説のような時代を背景としたテレビ放送で認知している人も多くいます。最近では和風の飲食店などで働く従業員が、演出も兼ねて着用することがあります。ごく一部ではありますが、有名な研究者が白衣の代わりに着用することもあるようです。
最近ではリバイバルブームのような動きもあり、有名アパレルブランドから販売され、再び家事の際に好んで着用する方も増えてきています。子育てなど袖まで汚れるような機会の多い人に好まれているようです。またパジャマなど外出できないような格好を隠すためにも良いとの声もあります。しかしこういった割烹着は着物用ではなく洋服用に設計されていますので、着物用の割烹着として購入する際には注意が必要です。(洋服は手首の部分が狭く設計されています)
デザインも洗練されてきており、エプロンのようにフリルが付いたようなデザインの割烹着も開発されています。
色は一般的に白色として認識されていることが多いですがが家庭で着用されていたころは、白以外にも様々な色の割烹着が普及していました。着丈は首元から膝くらいまでの長さが一般的ですが、着物を汚れから保護するためにもっと長いものもありました。
エプロンとの違いは両袖まで汚れから保護してくれることで、室温さえ気にならない環境であればとても実用的です。割烹着と似ている、もんぺ姿との違いは、もんぺは基本的にボトムスのことを指し女性が作業に従事する際に着用されているものです。もんぺを着用することで割烹着のように着物を着用せず膝下まで保護する必要がなくなったため、もんぺに合うような上衣とセットで着られていました。
女性が着用する衣服として親しまれている割烹着ですが、実は男性向けの割烹着も開発されています。こちらも女性と同様に膝丈までのものもありますし、もう少し短い身丈の割烹着もあります。
また和食の飲食店でも、エプロンの代わりとして、一見エプロンに見えますが割烹着として販売されている商品もあります。板前さんが着用しているような服装をイメージしていただけると早いかと思います。
割烹着が誰がどのような背景で開発されたのかについては正確にはわかっていません。娘が嫁ぐ際に、よそ行きの着物を保護するために開発されたという説や、女子大の学生が実習の際の衣服を保護されるために開発されという説など、諸説あります。
ただ、明治初期ごろから着用されていることは雑誌の写真から確認されており、明治中期には形が統一されてきており完成形を見せています。
もっとも着用されていた時期は、戦時中に木綿の入手が困難になった時期を除けば、明治後期〜昭和中期頃です。昭和後期になると、エプロンが普及するようになり、平成ではあまり着用されなくなりました。
木綿で作られることが一般的です。ただし最近では様々な素材で開発されており、皺になりにくいようにポリエステルが使われたり、涼しさを保つために麻と配合されいたりします。
木綿の場合、シワを伸ばすためにアイロンをかけることがあるかもしれませんが、白色の生地の場合色移りする可能性があるので注意が必要です。
ここでは着物を着ていること前提に説明したいと思います。
1,
まず予め首元の紐を結んでおきましょう。最後の首元の紐を締めても良いのですが、首の後で綺麗に紐を結ぶのは難易度が高いので、予め結んでしまうことをおすすめします。
2,
次に着物の袂(たもと)を手首のところでクルクルと巻き付けて、袖を通します。両腕をまずは割烹着の袖に通してしまいましょう。
3,
予め結んでおいた首元に頭を通します。この際に手を肩よりも上にすると着物が着崩れてしまう可能性がありますので注意してください。
4,
最後に腰の部分の紐を後ろで結びます。着物の帯の太鼓の上に結んでしまうことになりますが、気にせずに結んでください。
動画で着方を見たいという方は、先ほどの説明とやや異なりますが参考になると思います。